身体検査について
視診・聴診・触診等の五感を使った診察を大切にしています
当院では、問診(今までの経過や症状をお聞きすること)や、視診(見た目上の変化があるか診ること)、聴診(聴診器で肺音や心音、腸音などを聴くこと)、触診等の五感を使った診察を大切にしています。
それにより検査が必要かどうか、どの検査を行うのかを判断しております。
問診
- ・元気、食欲、排尿、排便、嘔吐、咳等、気になることをお聞き致します。
- ・いつから、どのように、どう変化しているかなど
体重測定
- ・投薬するために 非常に重要です。
- ・急激な変化が無いかどうか、確認します。
- ・脱水など水分の変化は顕著に体重に現れます。
体温測定
- ・肛門に体温計を3cmほど挿入し、直腸温を測定します。
視診
- ・動物の態度、意識状態、歩き方など観察します。
- ・耳、目、鼻、口腔内、皮膚や被毛、肛門付近も観察します。
触診
- ・体(体表リンパ節・できもの・関節や骨格系)に異常がないかを診ます。
- ・腹部触診にて腎臓や膀胱、腸などにできものがないか等を調べます。
聴診
- ・肺の音や心臓の音、腸の音を聴取します。
血液検査について
血液検査では、主に内蔵の機能や障害の程度がわかります。
動物病院では、簡単に血液検査をすることができます。静脈から採血します。
検査結果がでる時間は検査する項目によって異なりますが、通常の検査では10分程度で検査結果を知ることが出来ます。
また、専門の検査センターに血液を送って検査(外注検査)する項目もあります。
主に内臓の機能や障害の程度がわかります
血液一般検査(赤血球、白血球、血小板など血液そのものの形や量を調べます。)
免疫・血清学的検査(病気により発生した、血液中にある抗原抗体反応のようすを調べます。)
生化学的検査(血液中に含まれる物質(たんぱく質、糖質、酵素など)の成分を調べます。)
院内血液検査でわかる主な病気
・貧血 ・脱水 ・白血球増加症(炎症・感染・アレルギー・寄生虫・ストレス) ・黄疸 ・タンパクの異常 ・電解質異常 ・肝疾患 ・胆道系疾患(胆のう・胆管) ・腎臓疾患 ・糖尿病 ・感染症(猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルス) ・フィラリア検査(ミクロフィラリア検査、フィラリア成虫抗原検査) ・ 内分泌疾患(甲状腺機能低下症(犬)、副腎皮質機能亢進症(犬)、甲状腺機能亢進症(ネコ)) ・ 膵外分泌不全(膵臓から消化酵素が出ない病気)
外注検査でわかる病気
膵炎・犬猫の呼吸器病結膜炎の鑑別(DNAを検出するPCR法にて)・猫コロナウイルス・バベシア原虫・ヘモプラズマ・C反応性蛋白・貧血の鑑別・内分泌疾患の確定診断・細胞診・病理組織検査
※ 身体検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査と組み合わせることで、より確実に病気を発見することが可能となりました。
▲ページ上部へ戻る糞便検査について
糞便検査では、主に寄生虫や腸内細菌叢などがわかります。
下痢をした時や、便がゆるい状態が続いたり、食欲はあるのにだんだんと痩せてくる場合は、お腹に寄生虫がいるかもしれないので、糞便検査を行います。
主に寄生虫や腸内細菌叢などがわかります
糞便検査では主に消化吸収の状態や、腸内細菌叢の状態や寄生虫がいるかどうかが分かります。
まずはウンチの外観をチェックし、色・臭い・形・形状を調べます。
* 多量で匂いが臭いと消化不良やアレルギーなど 小腸性の下痢の可能性があります。
* 少量づつ頻回に排便をし、粘液や鮮血が混じる場合は 大腸性の下痢の可能性があります。
顕微鏡検査では、腸内細菌叢の状態、寄生虫の有無が分かります。
寄生虫がいる場合は寄生虫の卵を発見することができます。
消化管内の寄生虫には、回虫・鈎虫・鞭虫・瓜実条虫(サナダムシ)・コクシジウム・ジアルジア・トリコモナス などが居て下痢の原因になることがあります。
*黒いウンチは 胃や十二指腸などの上部消化管での出血の可能性があります。
*白いウンチは 胆管閉塞など胆汁の出が悪いことを示唆します。
悪玉菌(病原性細菌)としましては大腸菌・サルモネラ菌・クロストリジウム・カンピロバクターなどが一般的です。
全く症状がみられないこともありますが、種類や寄生数によっては、下痢や血便を起こしたり、食欲を低下させ、脱水や衰弱を引き起こしたり、ひどい場合には死んでしまうこともあるとても怖いものです。
とくに子犬子猫の下痢は怖いです。腸重責を引き起こしたり脱水や低血糖でぐったりします。
パルボウイルスの検出は 便にて抗原を検出するテストで行います(院内で可能)。
糞便検査に使用するウンチは・・・
【寄生虫の卵の検出率の高い浮遊集卵法の場合】
糞便検査に用いるウンチは、お散歩などで自然に排出されたもので新鮮なものを使います。
採取したウンチはサランラップ、ビニール袋などに包んで乾燥を防ぎましょう。
検査に用いるウンチの量としては、1cm角ほどあれば十分です。
【腸内細菌叢をみる直接法の場合】
来院時に、肛門から直接便を採取してすぐに検査します。
※ 身体検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査と組み合わせることで、より確実に病気を発見することが可能となりました。
▲ページ上部へ戻る尿検査について
尿検査では、非常に沢山のことがわかります。
尿検査は腎臓、尿管、膀胱、尿道といった泌尿器の疾患が疑われる時に多く行います。
腎疾患・膀胱炎・膀胱結石・膀胱腫瘍・前立腺疾患・尿道疾患など、おしっこの量、回数、色、にごり、におい、出方などに異常があるときに、検査を行います。
また、脱水、高齢、血液検査の結果などから腎不全や糖尿病、腎盂腎炎、などが疑われた時にも、尿検査は欠かすことができません。
また、元気や食欲がなくて病気がわからない場合にも尿検査を実施します。
* 犬は細菌感染による膀胱炎が多くあり、細菌によりアルカリ尿になると結石が形成されます。
* 老齢犬猫は 時々、膀胱腫瘍の発生があります。
*安いフードを食べている猫ちゃんに膀胱結石による尿道閉塞の発生も多くあります。
主に腎臓や肝臓の機能がわかります
尿比重で、腎不全の有無がわかります(腎不全があると薄い尿になります。血液検査より先に異常が検出されます)。
ビリルビンがたくさん出ているときには(犬は2+から、猫は+で異常です。)肝臓疾患や 胆道系疾患(胆嚢炎・胆管炎)や溶血性疾患の可能性が考えられます。
たんぱく尿の時は、膀胱炎やたんぱく漏出性腎症(糸球体腎炎、腎アミロイドーシス)
糖尿病は、尿糖が出ているかどうかで判別します。
重度の糖尿病でケトンが尿に出ている時は、入院による集中治療が必要となります。
尿を遠心して底に溜まった物を検査することにより結石、膀胱炎、膀胱腫瘍などがわかります。
※ 身体検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査と組み合わせることで、より確実に病気を発見することが可能となりました。
▲ページ上部へ戻る超音波検査について
超音波検査では、苦痛なく、臓器の構造がわかります。
超音波検査は、音を利用した魚群探知機などと同じ原理を応用したものです。音の性質(透過と反射)を利用して体内部の断層像を描くことができますから、無侵襲であり苦痛がありません。
ゲル(ゼリー)を塗って探触子をあてるだけで、各臓器の動き、形状そして機能から診断できます。
主に臓器の内部構造がわかります
心臓(心筋壁の厚さ・弁の異常・心臓内の血流の異常・逆流の有無・収縮力など)
腹部(肝臓、胆のう、膀胱、腎臓、脾臓、腸、腹水)などが診断できます。
※ 身体検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査と組み合わせることで、より確実に病気を発見することが可能となりました。
▲ページ上部へ戻るレントゲン検査について
レントゲン検査では、臓器や構造物の位置・形・大きさ・数の変化がわかります。
X(エックス)線(放射線の1種)によって、フィルム上に生体内の構造を撮影する画像診断法です。
レントゲン検査の撮影は痛みがないのが利点です。撮影するために、横向きの姿勢と仰向けや伏せの姿勢をしてもらわなければならず、怖がることが欠点です。
X線は放射線の1種なので生体に有害ではありますが、検査に使われるX線は非常に微量です。 数枚撮影では、特に有害な事象が発生することはないでしょう。
主に生体内の異常な構造がわかります
レントゲン検査では臓器や構造物の位置・形・大きさ・数の変化を確認することができます。
腫瘤・骨折・関節炎・異物誤飲・肺炎・気管支炎・心臓肥大・膀胱結石・腎臓結石・妊娠診断・腹水・胸水など確認できます。
※ 身体検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査と組み合わせることで、より確実に病気を発見することが可能となりました。
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